開催報告:『放課後の子どもの心の揺らぎと声』のお話会

昨日『放課後の子どもの心の揺らぎと声』のお話会2回目を終えました。両日ともに満席、大変有意義な時間の共有となりました。ありがとうございました。

2回目の様子

1回目の様子

前半は放課後児童支援員の吉村優さんに子どもたちの日常の姿や保護者との関わり、支援員として大切にしている軸や抱える葛藤などを語って頂きました。後半は参加者5名+優さんと私交え7名参加の座談会。それぞれに感じている社会に対する思いや課題について意見を出し合う、有意義な時間となりました。

私自身の、娘の学童期子育て時代は15年位昔。『今時の放課後事情』を知る事は、正直驚きの連続でした。
そして感じたのは、

◯『放課後に子どもが過ごす場所は、家庭の延長線上であるべきで、決して「課題(習い事や塾の類)の延長線上にあるべきものではない』ということ

◯放課後過ごす場所こそ、『第二の暮らしの場』にしていく必要があり、『日常の体験格差や、日常的な関係性の貧困、子ども本来に必要な時間』を取り戻せる場にしていく事

その重要性を認識しました。

にも関わらず公的支援は、社会のニーズに全く見合っていないという現状。今は学校の夏休みプールもないし、熱中症アラート出れば外遊びはダメ、大人同伴なく海遊びにも行けない。地域によっては高学年の過ごし場所なく、月から金まで習い事という子も少なくない。子どもだけで留守番、必然的にゲームやスマホ依存。住む地域によって事情に差があるのも大きな課題。さて、どうしたらいいのでしょうか。。。

お話会の要約

◎大人に指示されずとも、仲間と継続的につながることで、子どもは自ら遊び、仲直りする力を発揮する。

◎運営上の事情(定学年の待機児問題など)から高学年の学童利用は軽んじられがちだが、「大きくなったら1人で留守番できる」という単純なものではなく、個人差や環境の課題が大きい。

◎高学年は思春期の入口、自我の確立と葛藤の時期。実は「話をちゃんと聞いてもらうこと」を強く欲している。現代の子どもは、いつでも誰かに気持ちを分かってほしいと、放課後にその声を響かせている。

◎大人が作った「ルールや正義」で子ども同士が縛り合っている教室の違和感。失敗や迷惑をかけることができない子どもたちの苦しさを拾い上げる必要がある。

◎学童は、お互いに迷惑をかけ合いお互いに心地よい居場所をつくっていく「生活の場」

◎現代はルールに縛られたゲーム(その遊びしかできないもの)が増え、子どもたちも「こうあるべき」と縛られがち。放課後とは本来「課題から解き放たれた時間」。

◎「主体性(自分で決めてごらん)」と言われても、休み時間の過ごし方すら決められず指示を待ってしまう子や、ぼーっとすることができない子も多い。背中を押されるのが怖く、前から引っ張ってほしい子もいる。大人は知恵だけでなく目の前の人間をそのまま受け止める必要がある。

◎指導員として一番メンタルに堪えるのは、子どもではなく「親と心が通えないこと」。社会の都合や忙しさから、親の期待と日中の子どもの姿にズレが生じることがある。

◎子どもの育ちを信じること。親がすべての種を撒かなくても、子どもは雑草のように勝手に芽を出して育つ。それを信じられるかどうかが大切。

◎怒ると叱るの違いを子どもは見抜いている。大人がいかに腹を決めて軸(境界線)を持っているかが問われる。

◎子どもの時間を早く解決してスッキリしたいのは親なのか子どもなのか。子どもは大人の足を踏み入れられない世界を持っており、学校・放課後・家庭で顔を使い分けている。

◎何かをプラスする(付加価値を求める)のではなく、「ただいま」「おかえり」から始まり、等身大のその子が、良いところも悪いところも「ここにいていい、大事にされている」と実感できる放課後を守りたい。

 

座談会の要約

◎指導員として温かい眼差しで子どもに向き合っている吉村さんでも、「自分の子どもにはできない」という言葉に、参加者の母親たちから共感と安心の声が上がった。

◎客観的に他人の子はサポートできても我が子の子育てには迷う。専門職としての顔とプライベートの顔の葛藤をそれぞれが抱えている。

◎暮らしを通して、情緒や発達、生活力が育つ。習い事や旅行などのイベントではなく、放課後という「暮らしの場」をどう作れるかがこれからの時代の鍵になる。

 

現代の放課後が抱える課題

◎発達障害の早期支援や学童の充実度は、自治体や民間・公立の体制によって大きな格差がある。公的学童の中には働く親のニーズと行政のルールに乖離がある。

◎ NPOや民間への委託が進んだことで、親が「預けるだけ(サービス業を利用する感覚)」になりがち。親同士のつながりも希薄で交流がないため、子ども同士のトラブルが起きた際も大ごとになりやすい。

◎幼い頃から大人の世界の評価軸で萎縮、親の都合で機械的に動かされるスケジュールにもイヤと言えない。子ども自身が「親が頑張っているから自分も頑張らなきゃ」と内面化し、ノーと言えずに淡々と従う姿が増えている。

◎習い事の多くは、競争と評価とルールの世界。自由がなく子どもの預け場所として相応しいと思えないが現実として放課後の居場所がなく困っている。

◎都会のように徒歩圏内にたくさんの公園が点在していない地域(自然はあるが公園がない)では、放課後に気軽に集まって発散する選択肢が更に少ない。

◎子どもたちが喧嘩を始めた際、大人の顔色を伺いながら「だって俺が悪いんだろ!?」と大人に正解を求めてくる。幼児期に大人が先回りして喧嘩を収めてしまうため、自分の主張をぶつけ合う経験(喧嘩)が圧倒的に不足している。

◎「意見が違ってもいい、お互いを尊重すればいい」という姿を大人が見せていない。親同士もトラブルや揉まれることを嫌ってリスク回避をするため、子どもが痛みを学ぶ貴重な機会を奪ってしまっている。実際、ある支援員は「ここでしか思いっきり喧嘩ができないから、喧嘩をさせてくれてありがとう」と保護者から感謝された経験を共有した。

 

結び

◎大人の都合で作られた枠(ルール、キャリア、評価)に子どもを当てはめようとする社会の仕組み自体に無理が来ている。

◎「将来どんな大人になって自立してほしいか」を大人が見つめ直し、親自身がスマホに正解を求めるのをやめて、目の前の子どもを信じて、腹をくくること。

課題は山積していますが、放課後の時間の過ごし方として「何かができるようになるスキル向上」ではなく、良いことも悪いこともひっくるめて「等身大のその子」をただ見守り、安心と安全の関係性のなかで「その子自身を取り戻せる毎日」を社会・草の根の場で保障していくことが、我が子にとっても、地域の子ども達にとっても、何より大切なのではないでしょうか。

学童期の子どもの声に耳を傾ける事が、社会に求められています。

自分には何ができるのか、できそうか。
全員が自身の足元を再確認する温かい時間となりました。

予告

  • 次回のゆるりはのお話会&座談会は9/26(土)10時〜12時半、ゲストスピーカーは髙坂勝です。詳細は8月以降にご案内します。ぜひご予定ください♪(定員10名@ゆるりは)今小学生の子ども達が自立していく頃の社会像を見据え、親世代は先を生きるものとしてどんな背中を見せるのが良いのでしょうか?2年前は広い会場でのトークイベントでしたが、今回は相互コミュニケーションを大切にした会にしたいと思っています。子育てに悩んでいる人、自分自身のこれからに、あるいはこれからの社会に不安がある人、生き方を変えたいけど難しさを感じている人、お集まりください。

  • 10/16(金)10時〜12時(仮)ゆるりはにて、アートセラピーのひとつ【風景構成法の体験講座】を開講します。本講座受講検討の前の体験レッスン、ご一緒しませんか?(非言語コミュニケーションツールとして私自身が習得し、今後幾世で採用したいと考えているものです) 講師は逗子市で「女性と子どものアトリエ陽彩」を主宰するアートセラピストの中西佳子さんです。



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