ADHD気質と自律神経の状態

近年、2020年頃から海外のトラウマ研究や神経科学(ポリヴェーガル理論など)の分野でも「ADHD特有の不注意や過集中、動けなくなるフリーズ状態は、単なる脳の特性だけでなく、自律神経の防衛反応(過緊張やシャットダウン)と深く相関している」という見解が急速に注目されています。

私の自律神経の状態は、発達性トラウマ X 後天性ADHD故、脳の特性(刺激への反応性・ドーパミンの代謝・感覚過敏など)に加え余計に厄介です。ようやく「自分はなぜこうなってしまうんだろう?」という面倒臭さがポリヴェーガル理論によって整理ができました。この「ADHD特性×自律神経スペクトラム」の相関を紐解くと、「なぜか生きづらかった理由」や「普通の人との違い」が見えてきます。

「性格のせいではない」と正しく知り「自己受容する」事それ自体が、自律神経の回復への大事なエッセンスになっていきます。

ADHD気質の自律神経の大きな特徴

シンプルに表現するなら、一般的な自律神経の切り替えに比べ、ADHD気質の方は「ON(過覚醒)」「完全OFF(低覚醒・シャットダウン)」かという振れ幅が非常に広く、極端になりやすい傾向があります。そのため、中間の「心地よい安心・集中」の状態を保つのが難しく、常にエンジンONとOFFを繰り返し、結果として非常に燃費が悪く、覚醒や緊張を維持するためにドーパミンやコルチゾールを酷使し続けます。(副腎を慢性的に疲労)

「発達ユニーク(ADHD特性)の人が疲れやすい」最大の理由は、この「脳と神経系の双方で起きるバグを自制できないにもかかわらず、『学校』や『会社』といった社会の枠組みへ過適合することを強いられるから」。にも関わらず、「効率よく休むことが苦手」な為、一向に回復できないという無限ループに陥ります。

このようにADHDの人は、自分の意志とは関係なく身体が反射的に反応してしまうため、普通とされる人=発達性トラウマがなく自律神経が健やかに育った非ADHDの人とは本質的に「全く違う世界(感覚)」を生きています。

交感神経が立ち上がりやすい(過覚醒)
好奇心、刺激、興味があることに対しては過集中。ドーパミンが一気に出て交感神経が爆発的に上昇している状態。

背側迷走神経(ブレーキ)が不意に落ちる(低覚醒)
興味がないこと、退屈なこと、刺激の過多や情報過多で脳のキャパオーバーに直面すると、脳のエネルギーが切れ、一気に「動けない・怠い・フリーズ」に転じる。副腎疲労の症状にも似ています。

腹側迷走神経(安心のブレーキ)による微調整が効きにくい
ほどほどのエネルギーで、落ち着いて取り組むという中間ゾーン(交渉や回復)に留まるのが苦手。

 

13のスペクトラムに見る「ADHDあるある」

【交感神経ゾーン(過集中と焦り)】

楽しむ/遊び【ゾーン入りの過集中】
興味のあるテーマやアイディアが湧いた瞬間、何時間でも没頭。一見「楽しむ・遊び」に見えますが、交感神経が振り切れているため、後から猛烈な反動(脱力)がきます。所謂ADHDの「脳内多動」は、頭の中で常に複数の思考・アイデア・不安が超高速で回転し続けている状態。

 【交感神経 × 背側迷走神経(息抜き風の逃走・脳のフリーズ)】

逃走/闘争:【焦って爆発】
ギリギリにならないとエンジンがかからないのは、交感神経(焦り・アドレナリン)を極限まで高めないと脳が動かないため。また、感情の波が急に来て「キーッ!」となりやすいのも交感神経の急上昇が原因。

息抜き風の逃走:【ドーパミン探し】
「静まらない脳内多動(交感)」から逃れるため、脳は手軽に外部の情報で頭をジャックさせて思考を停止(麻痺)させようとします。これが、ぼーっと動画やSNSを見続けてしまう【息抜き風の逃走】。 「楽しんでいる」のではなく、「脳の暴走を刺激で麻痺させて一時避難している(逃走)」のです。

凍りつき/フリーズ:【ワーキングメモリのオーバーフロー】
やるべきことが多すぎたり、予期せぬ変更、音や視覚の刺激(感覚過敏)が多い場所にいると、脳の処理能力を超えて「頭が真っ白」「何から手をつけていいか判らない」と固まります。

ADHDの脳は、予期せぬ変更に対応するためのワーキングメモリの切り替えに、定型発達の人の何倍ものエネルギーを使います。自分の計画なら「思考のレール」が敷けているので交感神経をコントロールできますが、突然の変更に対しては、敷いていたレールが一気に途切れて脳内が大パニック(交感神経の急上昇=闘争・イライラ)になります。

また、急かされるという外部からの刺激が入ると、脳のワーキングメモリがその恐怖・プレッシャー(交感神経の防衛反応)で100%埋まってしまい、本来やるべき作業に使えるメモリがゼロになり、「パニックになるか、頭が真っ白(フリーズ)になるか、イライラして(闘争)するしかなくなります。

ADHD気質の方は、時間経過を感覚的に捉える「時間盲」の傾向があるので「何時から〇〇」「何時までに〇〇」という設定があると、脳波それをこなすための前準備と交感神経の調整に全リソースを割くことになり、神経系は常に緊張の待機モードを解くことができず結果としてエネルギーを消費して疲労してしまうのです。(遅刻が多いのも、この時間盲が原因です)

【腹側×背側の回復ゾーン(極端な落差)】

シャットダウン〜 回復:【電池切れのダウン】
過集中や過緊張でエネルギーを使い果たした後、中間がないため一気にブレーカーが落ちたかのように疲労困憊、思考停止状態、精神面でもダウンした状態になります。

まとめ

ADHD気質を持つ人が自律神経を安定させるためのポイントは、「揺れをなくそうとしないこと」「着地点(安心のアンカー)を作ること」。「過集中」のあとに「明確な回復(青紫)」を挟んだり、「フリーズ」した時はその特性を認知して、自分を追い込まないようにしたり。自分はダメだと責めると余計に交感神経が上がってしまいます。

また、「順序立ててやらなきゃ」という枠や過適合を手放し、時間的ゆとりを確保して安心感の中で活動することで、交感神経 X 腹側迷走神経の「正しい遊び」になっていきます。安心の土台である腹側迷走神経がないと、ADHDの振れ幅が「不調や生きづらさ」になってしまうので、まずは自分の特性を正しく認知して、自分自身の特性をうまく乗りこなす術を身につけることが肝要です。




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