備忘録のように「過去の思い出」としてSNSで再び上がってくるこの機能は、時に自分自身の振り返りとても役に立ちます。また、時に内容によって改めてゆるりはのブログに残しておきたいものも。2017年11月17日の投稿も、然り。今この混沌とした2024年に、再び読みたい。サティッシュ・クマール氏の講演『グローバルからローカルへ。豊かさから、幸せへ』書き起こし全文。
先日のフォーラムには参加できなかったけれど、ものすごく響くメッセージがシェアされていた。「幸せの経済学」がアップリンクで上映していた6-7年前に観た時の感動。そこには私が大切にしたいと思う価値観があった。だから、少しづつでもそこに近づける生き方、生きる場所へとシフトしていきたいと、上へ上へじゃない生き方に共感した2010年頃は、ちょうど父が無くなった後で、彼の豊かさの価値観の呪縛から放たれた頃だった。そこから種蒔きを少しづつしていって2013〜14年頃夫の意識変革が起き、実際に米づくりも始め、娘が自立したら半農半Xな暮らしをしたいと思うように至った。
私の意識の転機は2009年、父の他界後。セラピストとしての方向性の転機は2011年、東日本大震災後。全ては今に繋がっている。
ドキュメンタリー映画『幸せの経済学』
https://www.cinemo.info/27m
監督ヘレナ・ノーバーグ=ホッジさんと辻信一さんのインタビュー
https://greenz.jp/2017/10/24/helena_comment/
「しあわせの経済 世界フォーラム2017」より
サティシュ・クマール基調講演
「グローバルから、ローカルへ。豊かさから、幸せへ」しあわせの根源はcontentment(満足)です
しあわせの3つの条件があります。
1)過去のことにくよくよしない。出来れば忘れること。過去を責めない
2)未来を信頼すること。心配はいらない。大宇宙が面倒を見てくれる。
3)現在を祝福すること。宇宙が、世界がどれだけの贈り物をあなたにあたえてくれるか。一人一人の創造性を祝福してください。2本の手があることを祝福しましょう。2本の手があれば、自分の家さえ立てられる。種をまき、食べ物も作れるんです。
(今の人はスマホのシャーシャーやピピピしか手を使わない)
ローカル経済を作り出したいならまず手を使おう。でも現代の学校教育は、二本の手を“使わない”ことを教えている。大学を出ても何一つできない。料理も家を建てることも。もしローカル経済をつくろうと思うなら、自分自身を再教育することが必要です。私はイギリスのハートランドでスモールスクールという中学校、トッドネスにシューマッハカレッジを作りました。私の仕事はまず料理です。キッチンこそが教室。そこではシェークスピアを学ぶ前に、ガイア理論を学ぶ前に、ディープエコロジーを学ぶ前に、まずは料理です。またガーデニングも学ばないといけません。そのうえでなら、頭を使う勉強もいいでしょう。
教育の3つのH、と私はいいます。 head heart hand 頭、心、手です。日本ではもうひとつ「腹hara」を付け加えたい。日本ではどうも魂が腹にあるらしいのです。ローカル経済では、3つのHは手からはじまります。この手は、作り、変えることのできる奇跡の手です。ローカル経済は本を書くことでもなく、会議に出ることでもありません。その先に進まないといけないのです。
マハトマ・ガンジーが一生にわたる戦いを始めた時、スワデジ「場所の経済」をはじめました。ローカル経済はどこから始まるか、それは大地であり、頭上から降ってくる雨、太陽の光、それを活用することからです。日本人は長い間「日本は資源に乏しい国」と教え込まれてきました。でもこれは神話、あるいは大きな嘘に過ぎません。騙されてはいけない、あなた方には太陽は照らないのか?これだけ太陽が降り注いでくれているのに、しかるべき方法で収穫しなかっただけです。ローカル経済はまず自分の頭の上の太陽から始まります。石油をサウジから運んでこなくていい。オーストラリアからウランや石炭をもってこなくていい。それらはダークエナジー(暗黒、闇のエネルギー)。地下世界からやってくる。地獄から取ってきたエネルギー。この闇のエネルギーを使うことで、地球上の大変な問題をたくさん引き起こしている。気候変動や資源の無駄遣いなど。でも、ローカル経済は太陽に基づく、天国の経済です。天国のエネルギーがあるのになんでわざわざ地獄のエネルギーに固執しないといけないのか。
そして、日本には海のエネルギーがあるのではありませんか?海にはエネルギーとふんだんな食べ物があるのです。しかしその貴重な宝物の海が、プラスチックのゴミで埋め尽くされようとしている。今では魚介より多くのプラスチックごみが海にあります。これがグローバル経済が引き起こした結果です。このプラスチックを魚介が食べ、魚介を人間が食べています、つまり私達は今やプラスチックを食べているのです。日本は海の国、その豊富な資源を活用して生きていく、そういう方法をもう一度見つけないといけません。
そして大地、素晴らしい大地!そこから生まれる日本のお米。私は日本のお米、ごはんが大好きです。どんな大国の圧力があってもこの大地、お米を諦めてはいけません。トランプ大統領が来たのはアメリカの米と武器を売りに来たんです。ですからトランプにはGo Home!といってやってください。あなたから米を買う必要はない、と。わたしは餅も好きです。(下関のゆっくり小学校にサティシュさんに来てもらい、農作業を一緒にしました。自然農のお米を刈りました。石見銀山で餅つきをしました。)そして群言堂を尋ねて、シルクのスカーフを頂きました。そしてこのジャケットは日本のウサブローのハンドメイドのものです。これこそローカル経済です。
よく「どこから始めたらいいですか」と質問されます。日本人は働き過ぎ。7日ずっと働いたり、一日10時間以上働いたりする。まずは“怠けること。お金のために働かない事”です。週に3日働けばいい。それは、勇気をもてばできます。そして、学び直しをするんです。大工、料理、ガーデニング、陶芸でもなんでもいいので、これと思ったものを学んでください。これは年齢に関わりません。そして、何でもいい。学び始めましょう。ガンジーは60歳の時に糸紡ぎを学び始めました。ロンドンで法律家だった彼は超エリートだったが、インドに帰って糸紡ぎから始めた。みんな驚きあきれて、「ガンジーさんあなたはインドの独立のために糸紡ぎで出来ると思っているんですか?」と問いましたが、ガンジーは「そうです、試してみなさい」。そして何百万という人が糸紡ぎを始めました。そうしたら、イギリスから輸入していた繊維製品が売れなくなった。こうやって、イギリスからインドは独立したのです。糸紡ぎによって。この会議が終わったら、こう決意しましょう。私はこれから美しいスキルを学ぶ。この手を使って世界を変える人になる、と。スマートフォン操作ではなく、本当に美しい技術をこの手に学び取る事。環境問題は自然のことだけではなく、私たち自身のこころとからだの健康のことなのです。
想像力と創造性を発揮する人をアーティストと言います。グローバル経済は私達を消費者にしてしまいました。ローカル経済は、あなたを詩人に、作り手に、アーティストにします。今日、この会議が終わったら、みなさん自分に向かって宣言してください。私は作り手であり、詩人であり、アーティストである、と。アート、美、芸術は今ハイジャックされていて、美術館やホール、特別な場所に連れて行かれています。でもアートは一部のエリートのものではありません。アーティストは特別な人の事ではない、すべての人が特別なアーティストなのです。何が私をアーティストにするのか?――想像力と創造性です。どこに想像力や創造性があるのか?――それは一人一人の中に備わっています。しかし内なる創造性、想像力はグローバル経済によって抑圧されてきました。一部のエリートと大企業、グローバル経済からうちなるアーティストを解放しましょう。まず自分のために、家族のために、友人の為に、何かを作りましょう。それでも余ったら、それを売ったらどうでしょう。ローカル経済は、新しい経済です。一人一人が種をまき育てるのです。
自分の食べるもの、来ているもの、使うものを、知っている人が作ったものにしよう。そうすることでつながりをとりもどすことができます。マハトマ・ガンジーはインドの独立の父だということは誰でも知っていますが、しかしスワデジ(場所の経済)ということから始まったことは、多くの人は知らない。私はこの思想を、師であるビノバ・バーベから学びました。14万キロを13年間かけて歩いた、歩く人、ビノバ・バーベ。13年間彼はインド全土をくまなく歩き、ローカルフードを唱え(地産地消)、土地をもっていない貧しい人に土地を与えることを提唱する、ということから始めた。それが土地革命。
人びとは大きな危機、気候変動、戦争を目の前にして「どこから始めたらいいのか」と自問しますが、彼の答えはいつもこうでした。「まずは自分の食べ物から始めなさい」地域のもの、フレッシュで、美味しくて健康にいい、というものを食べなさい。そして自分でそれを育てるのです、と。土地革命からインドを変えようとしたビノバの教えを伝えるために本を書き、日本で翻訳されました。邦訳は『恐れるなかれ』、これはいい題名ですね。なぜなら、ローカル経済は気の弱い人には向いていない。勇気がいるのです。だから恐れない事が必要。このタイトルはとてもいい。ぜひこの本を読んでください。みなさんがこれからローカル経済を始める一助にしてください。答えは、今の政治家や大企業から来るのではない。ここにいるみなさんひとりひとりが、ローカル経済の主役です。「世界をどうやったら変えられるか」を悩む前に、まず自分の生活を変えましょう。消費者である自分を脱し、作り手になりアーティストになること。
『ソイル、ソウル、ソサイエティ(大地、魂、社会)』というもう一つの私の本があり、この邦題は『人類はどこへ行くのか』。この本の中では、ローカル経済へ向かう時の全体像(ビッグピクチャー)、自分自身とこの3つとのつながりを示しています。何故なら、自分自身を愛することができない、大地を愛せない、人びとを愛せなくてはローカル経済なんてできないからです。
ローカル経済の基盤は愛。自分自身、大地、すべての生き物、同胞の人びとへの愛です。グローバル経済の本質、基礎は「貪欲さと恐怖」です。ローカル経済の基礎は「愛と共感」です。私は新しい運動、愛の運動を皆さんとともに始めたい。なぜなら、この世界をよりよくしようとしている筈の運動家の中にも恐怖や不安からやっている人がいるからです。私は環境運動であれ何であれ、恐怖に駆られたメンバーになりたくない。
I love you.英語の文章の中で一番美しい文章は、I love you.大地を愛する、食物を愛する、アートを愛する、作る事を愛する、
自分の愛する大地から育った食べ物を食べ、愛する人が作った衣服を着て、何の不足があるでしょう?グローバル経済のものを消費する必要はありません。愛は愛する経済だけではなく、共に生きる友人、人間たちを愛すること。だから、私のローカル運動、環境運動の原点は『愛』なのです。この世界は分断されています。トランプは分断のチャンピオンです。でももう一度考えてみましょう、私達はアメリカ人である前に、ロシア人である前に、パキスタン人である前に・・・何よりも人間human beingです。
I love you.
だから言いましょう、
I love you.
I love you.
I love you.ありがとう!